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69、晴の泣き声                 ‐爛
 あちこちから悲鳴が上がる。
 今度の炎はさっきのものとは違った。囲むのではなく、直接彼らに火を付けたのだ。
「おのれ……焔!」
 紅蓮一族の男が焔を睨む。瞬間、焔が赤子をあたしに押し付けた。固い布越しに伝わる柔らかさが、あたしを戸惑わせた。
「なっ――」
 なんであたしに。不可解な行動に焔を見る、が、彼女は苦しそうにうずくまっていた。
 その背を、炎に焼かれて。
「滴(しずく)!」
「はい」
 男の声に目線を戻すと、青い髪の女性が男の隣に立っていた。男と同じぐらいの背丈で、男同様、焔を睨んでいる。彼女の足元からあふれた水が、斜面を下り仲間の足元を通っていく。さっき水を出したのは彼女、いや青髪の者か。同時に、あたしは悲鳴が消えていることに気付いた。彼らを焼いていた炎も。――焔のものを除いて。
「ふん、裏切り者が。血族の温情ゆえに謹慎で済ませていたものを、仇で返すとは。結局、最後まで出来損ないだったわけだ」
 その言葉に焔が反応したのか、男の体に再び炎が上がる。しかし、それも一瞬だった。隣の女性が手を触れた瞬間、そこから水があふれ、火が消えたから。
 どうしよう。動きたいけれど、その瞬間火を付けられてしまうだろう。……この赤子を巻き添えに。
「……終わりだ、焔」
 男がそう言い、女性が唇を歪めて笑った、その時だった。
 あたしの腕の中から、泣き声が響いた。
 今まで、全く動かなかった赤子が――晴が、泣いていた。泣き止む気配もなく、けれど暴れることもなく。ただ、泣いていた。何かを求めているようには見えなかった。苦しがっているようにも、不思議と思えなかった。ただ、泣いていた。理由もなく泣いているようにしか、思えなかった。
 誰もが不意を突かれ、誰もが赤子を見た。
 ただ――二人を除いて。
「――晴ぅぅぅっっ!!!」
 焔が叫び、再び彼らを炎が包む。そしてほぼ同時に、後ろの方に見えていた青い髪がひとりいなくなった。無意識に数える――あと三人。
 赤子を左腕に抱く。空いた右手で真剣をぱっと鞘から抜く。考える間もなく、投げる。
 剣は狂いもなく、滴と呼ばれた女性の左胸を貫いていた。
「ぞく……ちょ……」
 倒れこむ彼女を、男がとっさに支える。二人とも、炎に包まれたままだった。いや、それは二人に限った話じゃない。見たところ、火が消えたものはいない。
 青い髪の者も。
「紅き者……貴様……」
 男があたしを見ようとした。睨もうとした、の間違いかもしれない。けどその前に、男の左胸を、後ろから刃が貫いた。倒れる男から剣を抜いたのは――赤目。
「よくもふたりを!」
 上から声が降ってきた。とっさに見上げると、炎に包まれた青年が飛びあがって空中にいた。水色の髪をたなびかせ、赤目へと一直線に落ちていく。あたしは彼らを見回し、一旦、赤子を地に置いた。赤子はまだ泣き続けている。矢筒から矢を抜き、弓を構える。そして、矢を放った。……青年と同じ、水色の髪の者に。
 あたしの矢が相手に突き刺さった時にはもう青年も、赤目の刃によって息絶えていた。
 そして、立っている者も、ほとんどいなかった。














こんにちは、みなみです!
更新できた喜びと小説が上手く書けない悲しみを味わってます。
短い時間にたくさんの動きがあると難しいですね……。
まあ、とりあえず今回は、赤目お疲れって感じです。
……なんか短いですが、今日はこの辺で(^_^)/~
ではまた次回!
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2014.09.06 Sat l 紅滄 ~紅ノ運命~ l コメント (1) トラックバック (0) l top
67、焔の覚悟                 ‐爛
 張り詰めた沈黙が、あたしと男の間に広がった。
 あたしはただひたすら考えた。――彼らが本当に、この戦いはあたしたちが負けると考えているのなら、また、この生活で憎んでいるのが山の里でなく同じ異なる力を持った仲間だとしたら、確かに加勢する理由はない。それどころか、生活を良くするためにあたしたちと戦う可能性がある。なら、やはり滅ぼす対象に、彼らも入れなければならない。……でも、どうやって。
 穢れたモノ。異端の力。
 彼らが持つ力が何なのか、知らずに攻撃するのは危険すぎる。もちろん、『時の一族』が山の里から逃げようとして結局捕まったことが事実なら、さほど強い力ではないかもしれない。けれど男は『紅蓮一族かつ全一族』と言った。男が紅蓮一族で、他にもいろいろな一族がいて、そして一族ごとに力が違う、という可能性は否定できない。いや、おそらくそうだろう。もしかしたら、髪の色も関係しているかもしれない。例えば男と同じ赤い髪の者は紅蓮一族で――そこであたしは気づいた。
 じゃあさっきの焔という少女は、目の前の男と同じ――……。
 火。
 突如目の前に現れた炎。驚いて数歩下がる。ほんの一瞬、ほんの短い間で点けられた炎は、勢いよく燃えあがり、あたしの背より高く踊る。しかも――なぜか炎は、彼ら異端の者を取り囲んでいる。
「焔、貴様だな!」
 男の声。それが合図だったのか、炎は一度に消えた。と共に、あたしの足元に水がどっと流れてくる。誰かがこの水を出して火を消したのだろう。……こうして、どこからともなく激しい炎を出せるのなら、或いはどこからともなく大量の水を出せるのなら、それはまさしく、――異端の力。
 神を冒涜する者。
「……焔、貴様、なぜ我々に逆らい、紅き者を味方する? お前は私と同じ――」
「紅蓮一族。炎という異端の力を持ち、神を冒涜する穢れたモノ。――そうです。そんなこと、ちゃんと分かっています」
 言いながら、焔は歩きだす。何かを、大事そうに抱えながら。
「なら何故」
「兄様」
 焔は泣きそうに微笑んだ。そして、――あたしの側に来た。
「私に……この子は殺せません」
 思わず焔の腕の中を見る。彼女が抱えていたのは――金の髪を持った赤子だった。
「……それは、我々を裏切った一族の血を引く子だぞ」
「それでも……私の子です」
 焔の、今にも涙が零れそうな瞳が、強い意志を宿し始める。
「たとえ、裏切り者の子と呼ばれても、たとえ、穢れたモノからも忌み嫌われても、それでも私はこの子を愛します。この子を守るために、命を懸けます。あの人の忘れ形見であるこの子を――晴(はる)を失わなければならない世界なら、世界の方が間違ってる。みんながこの子を亡き者にしようとするなら……私は」
 焔の瞳から、涙が一粒、零れた。
「どんな手を使ってでも……この里を、出ます!」
 まばゆい炎が、上がった。









こんにちは、再び若干の放置をしましたみなみです。
なんか……ほんとすみません……。
あ、大学の方は一応慣れてはきました。
と言ってもまだ一月ぐらいしか経ってないのでホント慣れるのに手一杯って感じでしたが(^_^;)
新しいことがいっぱいでいろいろ大変ですが、ちょっとずつ楽しさも見出せてきたかな、と思います。
あと密かに読書時間の減少が心配でしたが、通学電車内で読めばいいことに気付き無事解決。←
まあ、先も長いので、これからも油断せず(?)大学生活頑張ります!
そして紅滄も頑張ります!←
ではまた次回!












コメント返信>
Aspecchi様>
 ありがとうございます!
 そうですねー。個人的には、今まで完結した物語がほぼ皆無ということがあるので、やっぱり一度完結させたいなと思っています。
 
2014.05.04 Sun l 紅滄 ~紅ノ運命~ l コメント (1) トラックバック (0) l top
65、時の一族                 ‐爛
「……理由を、聞いてもいい?」
あたしは表情を変えないようにしながら聞いた。正直、どうして断られたのかが分からない。彼らは、こんな生活をしていても、山の里を裏切らないというの?
 赤い髪をした男も、眉一つ動かさなかった。ただどこか、あたしを見る目が変わった。
「紅き者、理由などとうに分かっているだろうに。」
あたしは黙ったままでいた。男が、何を思ってあたしを見つめているのかを、見極めるために。そしてその男は、口を開いた。
「……我々は、負け戦になど味方しない」
負け戦。
「……あたしたちが、負けると言うの?」
「そうだ。所詮、多勢に無勢。勝てる見込みなど万に一つもない」
「そんなこと――っ」
「爛様」
赤目が静かにあたしを止める。男を睨みつけながら、あたしは唇をかんだ。確かにあたしたちは数が少ない。たったの八人だ。でも、その八人が道の里を滅ぼした。そしてこの八人が、これから山の里も、川の里も、風の里も、蒼の里も滅ぼす。そう、滅ぼさなくちゃいけないんだ。
 紅の里を、守るために。
「もうひとつ、良い事を教えてやる、紅き者。」
「……何?」
「我々が今このように生きているのは、山の里ではなく同胞の愚かな行動のためだ」
「愚かなんかじゃありません!」
男の、そしてその後ろにいる人々の顔が一斉に一方向を向いた。あたしは彼らを警戒しながら、そっとその方向に顔を向けた。どうやら、洞窟のある方だ。
 そこには、ひとりの少女が立っていた。燃えるような長く赤い髪、強く結ばれた唇、今にも泣き出しそうな瞳。その両腕は、大事そうに何かを抱えていた。
「……焔(ほむら)、お前は謹慎中だ、戻れ!」
「嫌です!」
焔と呼ばれた少女は、男の声に身をすくめながらも叫んだ。
「時の一族は愚かなんかじゃありません!薫(かおり)たちが何処かで生きていることは、むしろ希望です!」
「生きてなどいない!子供が二人、どう生きていくというんだ!」
「それはっ……」
焔という名の少女は言葉を失う。男は一回あたしを見てから、話し出した。少女を睨みつけたまま。
「……数年前、時の一族という者たちの一部が反乱を起こした。この里から自分たちだけ逃げ出そうともくろんだのだ。紅き者、今のお前たちと同じように、たった数人でな。だが当然、奴らは捕まった。唯一、子供が二人だけ逃げおおせたが、あの綺麗な金髪では、助けてくれる人もいないだろう。しかしそのせいで、我々は責任を負わされた。あいつらのせいで、我々はこんな生活を強いられた。全一族の代表として、憎んでも憎み切れない」
男は、またあたしを見た。今度は、あたしから目を逸らさなかった。
「だから、お前たちに力を貸しはしない!」








こんにちは、みなみです!
いやぁ、もうなんか現実逃避しまくってる三年0学期の今日この頃です(おい
1年後のことなんか考えたくもないです(-_-;)
でもそんなこと言ってる場合じゃない気がするのでちゃんと勉強始めようかと思います。はい。
あと、学校で空席がいつもより増えてる気がするので風邪には気を付けたいと思います!
ではまた次回!









コメント返信>
Aspecchi様>
受験生なんですよね……。
早めにやろうと思って今日まで来た感じです(泣←←
とりあえず、少しずつはじめていきたいと思います!
2013.01.27 Sun l 紅滄 ~紅ノ運命~ l コメント (0) トラックバック (0) l top
63、誘い                 ‐爛
 あたしは、岩の陰からゆっくりと立ち上がった。赤目も同様に立ち上がる。そして、ゆっくりと南側へと降りていく。と言っても、それは気付かれないためではないから、音を立てて進んだ。と、ようやく黄緑の髪の男が一人、こちらを振り返った。
「誰だっ!」
あたしは返事の代わりに微笑んだ。仲間の声に、髪が異なる者たちは次々に集まって来た。赤、青、金、黄緑。橙もいるし、水色もいる。あたしが黙って観察していると、その中の一人、赤い髪の男が口を開いた。一歩前に出ているから、おそらく長のような存在なのだろう。
「……その紅い眼は、紅き者だと察する。何の用だ」
思ったよりしっかりした声に、少しだけ安心する。後ろで、赤目があたしを見つめているのを感じた。
「ええ。確かにあたしは紅き者。あたしは、……この里を、滅ぼしに来たの。」
 静寂が、辺りに広がった。
 彼らも、本当は気づいていたはずだ。いくら蔑まれていたとしても、戦いの合図である三度の鐘の音は聞こえていただろう。それに、もし気づいていなかったとしても、今なら分かるはずだ。異様な静寂の中に響く、遠くの戦いの音が。
「……滅ぼすならば、わざわざ姿を見せずとも、弓で射ればいいはずだ。さっさと目的を明かすがいい」
あたしは思わず微笑んだ。道の里の民より、はるかに頭が良い。あたしなら、『異なる者』なんて隔てないで、迷わず仲間に入れるのに。
「……あなたたちは、この現状に、満足してる?」
この言葉を発した瞬間、全員がそれぞれ反応した。目を見開く者、にやりと笑みを浮かべる者、拳を握り締める者、震えだす者。いずれにせよ、何が言いたいのかは大体分かったようだ。
「もちろん、無理になんて言わない。もしかしたら、あなたたちが不満に思うこともあるかもしれない。でも、あたしはちゃんとあなたたちの言うことに耳を傾ける。分け隔てもしない。望みはでき得る限り叶えるようにする。だから」
「仲間になれ、と?」
赤い髪の男が、言葉を遮って続けた。あたしは、ゆっくりと頷く。ざわめきが辺りを埋め尽くし、人々が迷っていることを伝える。あたしはただ、待っていた。彼らの結論を。彼らが選ぶ、運命を。
 不意に、とある言葉が頭をよぎった。
『……わたしは、あなたを運命から救いたかったの。同じ様に運命に縛られた、預言者の神無月として。』
 ……あたしは、選べないの?
 漏れ出た疑問は、仲間の顔に打ち消された。
 違う。あたしは、仲間を守りたい、里を救いたいんだ。紅き者だから、紅き者の運命だからではなく、仲間の、里の民の一人として。
 その時、ざわめきがやんだ。赤い髪の男が、右手を上げたから。
「……紅蓮一族かつ全一族の代表として、皆に宣言する」
その男は、射るように、あたしを見つめた。あたしも、見つめ返した。
「我々は、紅き者には味方しない!」
再び、静寂が広がった。誰かの、息をのむ音が聞こえた。





こんにちは、みなみです☆
いやぁ、実を言うと期末テスト中なのに更新してます。でも勉強はそれなりにやってます!
今回も数学が泣きそうです(-_-;)
あ、あと前回言っていた読書中毒ですが、ちょっとは頑張って我慢してます(笑)
テスト期間中に読書>勉強になってる気はしますが←←
ではこの辺でまた次回(^_^)/~




コメント返信>
Aspecchi様>
 確か今年からだと思います。確か←
 でもまあ、修学旅行は入学当初から(もしかしたら入学前から)決まっているものだと思うので、変更も色々大変なんじゃないかなと思います。
2012.12.01 Sat l 紅滄 ~紅ノ運命~ l コメント (0) トラックバック (0) l top
61、異なる者                 ‐爛
 ……遅い。
 あたしは心の中でそう呟きながら、もたれていた木から離れた。
 赤目が様子を見に行って、もう五分にはなるだろうか。戦いの時、この五分が命取りであることを赤目は知っているはずだし、そもそもあの赤目が三分以内に帰ってこないはずはない。とすると。
 あたしは弓などの装備を改めて確認し、前を、頂上を見つめた。ごくり、と唾を飲み込む。
 ……待ってて、赤目。今、行くから。
 あたしは、頂上に向けて踏み出した。身をかがめ、出来るだけ見つからないようにする。少しずつ少しずつ、光が、差し込む。そして、頂上には。
「……赤目?」
「爛様っ」
岩の陰に隠れていた赤目が、驚いたようにあたしを見る。あたしは嬉しくて、でも気を引き締めて赤目のもとまで進む。
「赤目、遅かったけど、どうして?」
小声で聞くあたしから、赤目は少し、眼を逸らした。
「……あれを見て、爛様。」
え、と思いながら赤目が言った方を、魔の山の南側の斜面を見る。
 人々がいた。皆洞窟に住んでいるようだ。粗末な服に痩せた身体。そこまでだったら貧しい人々と何ら変わりはない。ただ、普通と違うのは……。
「……髪の色が……」
あたしの呟きに、赤目が頷く。
「そう。だれ一人、普通じゃない。」
あたしの知る限り、普通、人は黒髪だ。確かに茜の髪は茶色混じりだし、エンジさんや桜実は朱、赤目は緑が混じっているけれど、基本的には黒。だけど、ここの人々は皆、赤や金、青や黄緑など、黒が全く混ざっていない髪をしている。
「……聞いたことがある。」
赤目の呟きにあたしは赤目を見る。赤目は少し言いたくなさそうに言った。
「……眼が異なる者は神が生まれ変わった者、夢が異なる者は神の意思を背負う者、髪が異なる者は神を冒涜する者。……眼が異なる者は紅き者や蒼き者。夢が異なる者は預言者。髪が異なる者は……穢れたモノ」
「穢れたモノ?」
「そう。……異端の力を持つ、憎み蔑むべき者たち。」
あたしは、改めて彼らを見た。憎み、蔑むべき彼らは、髪以外、なにも変わりがない。草を引き抜いていたり、ネズミを捕まえたり。道行く人と会話をしたり、かすかに笑ったり。あまりの暮らしぶりに、あたしは井戸があるのを見て安堵したほどだ。いずれにしても、滅ぼすべき相手には違いないのに。
「……どうしますか」
赤目の問いに、あたしは、答える。
「……彼らの答え次第ね。」








こんにちは、みなみですっ。夏休みです☆←
例によって今課題で苦しんでいます。数学とか(泣
さて、だいぶ自分の未熟さ(設定とか文章力とか)に悩む日々ですが、この「紅滄」が完結したときに(先は長いですが)、少しでも成長していたらなと思います。謎の回収頑張れ私←無責任
暑さと蚊にも悩まされる日々ですが、みなさんも熱中症には気を付けてくださいね。あと暑さによる無気力症候g(爆
ではまた次回!
2012.08.07 Tue l 紅滄 ~紅ノ運命~ l コメント (1) トラックバック (0) l top
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