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15、2年後                 ‐爛
あれから、もうすぐ2年たつ。
「・・・様、爛様っ!」
「・・え、あ、すみません灯(あかり)様。」
あたしの目の前にいる灯先生は、あたしたち巫女の歴史の先生だ。あたしたち、というのは、あたしと、あたしより3歳年下の茜と、あたしより2歳年上のエンジさんのことで、19歳未満の巫女の教育をすることを、1年前から大巫女おばば様の命によりすることになったのだ。ただ、今紅の里は深刻な人不足で、巫女になる素質の子がいても、親がなかなか手放さないそうだ。そのため、教育を受けているのは、去年からあたしたち3人だけだ。
「全く・・・爛様はいつもぼぉっとして・・・だから3人の中で一番ココが悪いんですよぉ。」
灯先生が、自分の頭を指さしながらおどけて言う。むっとしたけど、でもまだ灯先生はあたしの中ではいい人だ。なぜなら、あたしを、『紅き者』と言って、特別扱いしないから。
「爛様、反省してるの?灯様を困らせてばっかりじゃないの。」
「エンジ様、口調、口調!」
あたしたちはクスクス笑った。エンジさんは前のあたしと同じで、口調がくだけている。それを注意するたび、灯先生は「口調、口調!」と注意するから、いつも笑っている。
「あ、灯様、どうぞ授業を続けてください。」
そう言ったのは茜。茜は底抜けに優しい。そう、美陽みたいに。
 美陽・・・。
『・・・またいつか、二人で一緒に笑い合おうね。』
美陽、あたし、美陽も仲間になってほしかった・・・。
 2年前、あたしと同じ眼を持つ少女、美陽は、この里から追い出された。
 あたしはそれからずっと、この里から出る機会をうかがっていた。でも、無理そうだ、と気づいたのは最近のこと。あたしはようやく、大巫女おばば様のすごさに感心した。大巫女おばば様はほとんど自分ひとりだけで、里を守る『結界』を支えているのだ。
「・・・さて、爛様、今度は聞いているんでしょうね。」
「・・・は、はい。」
「じゃあ答えてもらいましょうか。この館を建てた紅き者は別名、何と言いますか?」
「・・・『はじまりのもの』です。」
「正解。」
灯先生がにこっ、と笑う。これぐらい常識なのだが、そういえばあたしはこれを、美陽から聞いて、美陽は小豆さんに聞いたんだっけ。
 美陽・・・今、どうしてる?
 あたしは心の中で、美陽に問いかけた。





こんにちはっ。紅滄が新しい章・・・というか展開?に入りました!爛は~紅ノ運命~、美陽は~滄ノ運命~です。爛、美陽の順です。カテゴリは分けておきましたが、分かりにくかったらすみません。ちなみに『運命』は『さだめ』と読んでください。
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2010.09.20 Mon l 紅滄 ~紅ノ運命~ l コメント (2) トラックバック (0) l top