上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top
35、焚き火                 ‐爛
「ら・・・爛様。」
「何?」
あたしは手に持った地図から顔を上げずに言った。この声の主の茜は、びくびくしながら言った。
「ゆ・・・夕ご飯の時間です。もうみんな食べ始めているので、爛様も早く・・・」
「いらない。」
でも、と茜は食い下がった。それはそうかもしれない。あたしはあの日、大巫女おばば様に他の里を滅ぼすように言われてからほとんど何も食べていない。だけど不思議なことに、あたしは空腹を覚えないし、むしろ何も食べられない気がする。そう、どこか感覚が麻痺しているかのように。
「・・・爛様、明日戦おうって人が、どうして何も食べずして力が出るんですかっ!」
茜の声が、頭に響く。ああ、そうだ。ついに明日、あたしは主要の里の一つ、道の里を滅ぼしに行く。今あたしはそのために、計画で危ういところ、曖昧なところ、欠けているところを探し、よりよい計画を導きだそうとしていた。一つ間違えば、全てが終わる。そう、約束も、果たせなくなる。
「・・・茜、そろそろ諦めたら?」
「エンジ様の言うとおりだ。お前は一番小っこいんだから、何か食わなきゃ死ぬぜ?」
でも、とまた茜が言った。エンジさんと男たちの中で一番弓術が得意な鳶(とび)が来て、呆れたようにため息をついたのが聞こえる。
「茜、爛様は無敵の心臓を持ってるの。だから死にはしないわ。鳶の言う通り、さっさと夕ご飯食べて来なさい。今だって、灯様と朱鷺(とき)と桜実(おうみ)と赤目(あかめ)が残りを減らしてるんだし。」
「エンジ様・・・それは褒め言葉?」
あたしは地図を見ながらも呆れていた。無敵の心臓?あるとしたらそれは小豆さんぐらいだろう。
 ・・・小豆さん。
『爛様、・・・どうか、お元気で。』
数日前、また大巫女おばば様の命が出たのか誰もいない里を早足で抜け、南門、通称『繋ぎの門』を出るとき、小豆さんはそう言ってあたしたちを送り出してくれた。その声がどことなく寂しそうで、あたしは門が閉じて歩き出してからも、何度か振り返った。
 ・・・なんで、小豆さんは一緒じゃないのだろう?巫女の中で、もっとも武術に長けているのに・・・。
「・・・ーい、おーい、爛様っ!!」
あたしは相変わらず地図を見ながら「なに?」と返答した。これは桜実の声だ。
「・・・これ、灯様と朱鷺と赤目と俺から。さすがに何か食べないとさ。」
顔を上げると、そこには焼き鳥を持って、ニッと笑っている桜実がいた。その後ろには、心配顔の茜と、困ったように笑うエンジさんと、腕を組んで呆れた表情をしている鳶の姿があった。
「・・・ありがと。」
あたしは桜実から焼き鳥を受け取り、そう言った。少し気恥ずかしくて、慌てて地図に目を向けた。
 あたしには、仲間がいる。
 陽が、世界を暗闇にしても、あたしたちには焚き火があった。






こんにちはみなみですっ。今日は学校が早く終わったし、PCも起動したので更新できますww
あ~、なんか登場人物が一気に増えた(爆
それでどうなのかという訳ではありませんがキャラの特徴を描くのが下手なので(-_-;)
さぁ・・・来週も更新出来るんでしょうか(・。・;




コメント返信>
Aspecchi様>
 高校生活・・・多分なれました(おい
 避難は・・・うちの住んでいる県(市)はそんなに大きな余震は無かったので今のところ無いです。最近は特に無いです。どちらかと言えば家にいるときの方が揺れます(・_・;)
 
スポンサーサイト
2011.04.25 Mon l 紅滄 ~紅ノ運命~ l コメント (0) トラックバック (0) l top
34、説得                 ‐翠・美陽
私は、数分前のことを思い出しながら、湊を探した。
『・・・嫌な、思い出?』
私がそう言ったとき、美葉さんは『ええ』と頷いた。
『湊はね・・・』
「・・・翠?」
声がした。振り返ると、そこには湊の姿があった。
「姉上が、翠は僕を探している、って言ってたんだけど・・・。」
「うん。ちょっと話があって。」
何?と首をかしげる湊に、私は言った。
「・・・湊、私と一緒に子供たちの遊び相手になってほしいの。」
「・・・。」
「私独りじゃ何も分からないし、知らない人ばかりだから心細いの。だから湊・・・お願い。」
湊はしばらく、下を向いて黙っていた。その沈黙が怖くて、私は何も言えず、ただそこに立っていた。
 突然、湊が口を開いた。
「・・・姉上の差し金だね?」
「えっ?・・・差し金・・・って何?」
湊は半ば疑い、半ば呆れるように答えた。
「つまり、翠は姉上に言われたから僕にそうやって言うんだろ?姉上は預言者だから、いつもそうやって、僕だけでも他の子と同じような道を進むのを望んでいるんだ。健全で、他の子と仲が良くて、明るくて、自由で・・・。自分が出来なかったことを、僕にやらせようと」
「そ、そんなことない。」
湊が、悲しげに微笑んだ。さっき、美葉さんがしていたのと、同じ笑み。
「みっ、美葉さんは湊のことを心配しているんだよ。自分が出来なかったとか、そう言うのじゃなくて、ただ学校でいじめられていた湊が心配で・・・ってあ!」
私は慌てて口を塞いだが、言ってしまった言葉は元に戻らなかった。湊はふぅ、とため息をつく。
「・・・ほら、知ってるってことは、姉上から聞いたんだろ?まあ、別に里の子は皆知ってるようなものだから、いずれは翠にも伝わるとは思ってたけど。・・・だけど翠なら、分かってくれるだろ?」
私は黙って、湊を見つめていた。美葉さんの言葉がよみがえる。
『湊はね、いじめられていたの。・・・蒼き眼を、持っていたから。』
「・・・分かった。湊、じゃあ私は一人で子供たちの遊び相手に行ってくるね。」
え、と湊は戸惑った顔で言った。話が飲み込めていないようだ。
「だって私、最初から一人でも行く気だったから。・・・翠に、新しい私になるために。」
湊はそれを聴いて複雑な表情を浮かべていたが、やがてゆっくりと話しだした。私は笑う。
「・・・今度ばかりは、姉上の策にかかったみたいだ。全く、翠が一人でいたらどうなるか考えたくもないよ。・・・分かった。僕も翠と一緒に行くよ。」







PCの調子(と私の小説を書く調子)が悪かったので更新してませんでしたすみません<(_ _)>
というか高校生になって初の更新な気がします←
あ、あと前回?(33、嫌い、約束、崩壊)の大巫女おばば様のセリフで(上から32行目ぐらい)、『三つの里』と書いてありましたが『四つの里』の間違いです。すでに直してはありますがすみませんでした<(_ _)>
では、来週も更新できていることを祈りましょう←
2011.04.16 Sat l 紅滄 ~滄ノ運命~ l コメント (1) トラックバック (0) l top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。