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40、少年、葵                 ‐翠・美陽
「あ・・・あの」
私の声に、灰色のマントを着た人が本から顔を上げ、ゆっくりとこっちを向いた。薄ぼけた灰色のフード付きマントを着たその人はおそらく私たちと同じくらいの少年だった。フードから漆黒の髪が見え、それよりも濃い、どこか蒼を帯びた瞳が、私をとらえた。そのかたく結ばれた口は、開きそうもなかった。
「・・・はっ、はじめまして。私、す、翠って言います。今度から遊び相手として来ることになりました。・・・よっ、よろしくね。」
少年は少しの間私のことを無表情に見つめていたが、またゆっくりと本に顔を戻した。
「・・・え?えと・・・」
私がその沈黙を飲み込めないでいると、少年がまたこっちを向いて、口を、開いた。
「・・・俺は葵(あおい)。よろしく。」
少年はまた本に顔を戻したが、私にはその表情がどこか、笑っているように見えた。冷たくもないし作り物でもない、少しだけ嬉しそうな、だけどそれとも違うような、そんな笑顔を浮かべたように。
「・・・それ、何の本?」
私が会話を続けるために思い切ってそう話しかけると、少年・・・葵は、戸惑ったような顔で私を見た。私は何に戸惑ったのか分からなくて首をひねったが、葵はすぐその表情を引っ込めて、言った。
「・・・薬草。」
「薬草?えっと、薬草って、薬になる草のことだよ・・・ね?」
私の言葉に、葵はこくんと頷いた。良かった、と胸をなでおろす。
「薬草って、どのくらいあるの?」
「・・・たいして多くない。だけど、まだ誰も知らない薬草が、あるかもしれない。」
葵の言葉に、私はそうなんだ、と頷いた。まだ誰も知らない薬草。私はまだ知らないことだらけなのに、他の人でも、知らないことがあるんだ。
「・・・いいの?」
え?と葵を見ると、葵はどこか呆れたような、そう、さっき藺草や湊がしたような表情を・・・。
「・・・あいつら、待ってるけど」
私が慌てて振り返ると、三人が、さっきの場所で立っていた。ここからだと顔がよく見えないけど、きっと呆れているに違いない。私は葵の方に向き直った。
「教えてくれてありがとう。じゃあ、またあとでね、・・・葵。」
「・・・こちらこそ、翠。」
ぱらり、と葵が本のページをめくった。私は葵の言った意味をいまいち理解できないまま、藺草たちの方へと急いだ。たどり着くと、呆れているとばかり思っていた皆が、・・・驚いてる?
「翠ちゃん・・・あいつと会話成立したの?」
私が頷くと、みんながさらに驚いた。もっとも、忍は驚いているようには見えなかったけれど。
「・・・すごいね、翠。僕ら皆、あいつと会話なんて、成立しなかったんだから。」
湊の言葉に、私は少しだけ、葵の方を振り返った。







こんにちは、みなみですっ!部活がひと段落したので一安心です(^-^)
ところがもうすぐ期末テストだったりします。びっくりです←
そしてこの小説は通算40話?目ですが、いつまで続くんでしょうね(笑)
まぁ頑張りますっ!!




コメント返信>
Aspecchi様>
 ありがとうございますっ。私はまた違うところが刺されて(泣
 私はまだ殺せてないですね(おい
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2011.06.19 Sun l 紅滄 ~滄ノ運命~ l コメント (1) トラックバック (0) l top
39、閉じた里                 ‐爛
 道の里のいたるところで、悲鳴が聞こえた。
「火だ!!おい、誰か消せっ!」
「里の外れの家が燃えてるわ!でもどうして・・・」
あたしはそんな人々の声に耳を傾けながら、一本、また一本と矢を放っていった。本当に蝋燭草はよく燃える。これが草原で首尾よく大量に手に入って良かった。主に取って来たのは赤目で、あたしたち7人が合わせて5本しか見つからなかったのに赤目は一人で106本抱えていた。赤目は名前のように紅い眼をしているわけではないけれど、本当にいい眼をしている。
「おい、火の回りが早いぞ!女子供は里の外に逃げろっ!」
誰かが叫び、それに応じて足音がパタパタ、ドタドタと響いた。あたしは思わず微笑む。そして、誰もいない西に向かう道の方を向いた。道は燃えていないぞ、ありがたいという声。そう思ってくれるなら嬉しい。だって感謝してくれるなんて、思ってもみなかったから。ついに、最初の一人が道に姿を現した。
ビュンッ! ・・・カッ!
 あたしは番えていた矢を放った。蝋燭草付きの矢ではなく普通の矢だ。矢は吸い込まれるようにその姿に当たり、その姿は道にばたりと倒れた。風向きの関係で、鉄のにおいがした。
 これが、人に矢が当たったときのにおい。
 あたしは震える手を無理やり動かしてまた矢を番え、現れる人の姿に矢を放っていった。灯さんも、反対の東へ向かう道では蔦と灯が矢を放っているだろう。だからあたしは意思に反して震える手を従わせなくてはいけない。あたしは、紅き者なんだから。
「敵だ!外に敵がいるぞっ!そいつらが火を点けたんだ!」
誰かの叫びで一転、道に人がいなくなった。それはそうだ。今里を出ようとするなんて、死にに行くようなものだ。あたしは念のためにちらちらと道を気にしながら、また蝋燭草を括りつけた矢に火をつけて道の里へと放った。火はどんどんと里を燃やす。さすが蝋燭草、とあたしはまた思った。ある意味、蝋燭草は火をつけ、火の勢いを増すためだけの草だから、今のあたしにとって、仲間に等しいくらい大切なものだ。
 突然、大地が揺れた。
「道の里の皆さま、里外れの家より中にいてください!これよりこの里を閉じます!」
上の方からそんな声がして、人々は騒々しく、だが素直に従った。たぶん声は里長の塔の人のものだろうから、従って正解だと思ったんだろう。
 ガタガタ、ゴトゴトと地鳴りがして、突然、地面から灰色の壁が現れた。その壁はみるみるうちに高くなり、また突然ピタッ、と止まった。それでも、あたしの目から壁の向こうに見えるものはわずかに里長の塔のてっぺんだけだった。高い。しかも里に入る扉は一つもない。ただの壁だ。
 里を閉じる。確かに外からの奇襲に対して、これは有効だろう。傷ひとつ無い、鈍い灰色の壁。叩いても斬っても矢を放っても、何物でもこの壁は傷つけられない。里へは入れない。でも・・・。
「・・・地図に書いてあった通りね。」
あたしは微笑んだ。そして、待った。






こんにちはっ!みなみですっ。更新できてよかった(^_^;)
なんか昨日今日暑いですね~。今夏でしたっけ←
そういえばこの間蚊に刺されてました(おい
しかもなぜか右足に集中して二、三ヶ所。そんなに私の右足が美味しいか(-_-;)←
まぁとりあえず、また今度!頑張って更新できたらいいな



コメント返信>
Aspecchi様>
 あ、ありがとうございますっ!!でも私、けっこう続けるの苦手なんですよね(汗
だから手元には未完結のものがたくさんあります。どうしようかなこれ(・_・;)
たぶんこの『紅滄』が一番続いたものではないかと←おい
 まだまだ未熟なのでいつ完結するか分かりませんが、精一杯頑張りたいと思いますっ!
2011.06.05 Sun l 紅滄 ~紅ノ運命~ l コメント (1) トラックバック (0) l top
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