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70、『お姉ちゃん』                 ‐翠・美陽
「……お姉ちゃん、もう大丈夫?」
「大丈夫だよ」
 そう答えると、瑠璃は安心したように笑った。瑠璃より前に泣き止んでいた私も、瑠璃が泣き止んだことにほっとして笑った。
「……全く」
 頭の上から、葵のため息が聞こえる。そして、続けて葵は忍に問いかけた。
「忍、今は何の刻?」
「22の刻の五半刻と刻分の四」
「つまり……22の刻の9分か」
 再びため息をつく葵に、立ち上がる忍。その二人のやり取りに、私はずっと気になっていたことを思い出した。
「あの、忍。なんで忍は時刻が分かるの?」
 聞くと、一瞬、忍が固まった、気がした。
「あっ、いやあの、言っちゃいけないことなら言わなくていいんだけど、その」
 慌てる私に、瑠璃が当たり前のように答える。
「お姉ちゃん。忍お姉ちゃんだから、分かるんだよ。それだけ」
「……まあ、合ってる、と言えばそうだけど」
 葵が歯切れ悪く呟く。何が、と問う前に、再び葵が口を開いた。
「それより、早く家に帰ろう。特に翠」
「え?」
 訳が分からなくて、きょとん、と葵を見上げる。すると葵も一瞬固まったが、すぐにため息を吐いた。
「……翠を心配している人は、他にもたくさんいるんだよ」
「藺草も、湊も、預言者も心配していた」
「……えっ?」
 それは……。私は、今回の計画の内容をようやく思い出す。そうだ、こっそり行って……。
「……もしかして、黙って出たの、気付かれた?」
「当然だろ」
 葵が顔をしかめて言う。思わず下を向いたが、その先にいた瑠璃も頬を膨らませていた。
「……いなくなったことに気付いた湊と預言者が、わっちと藺草に捜索を依頼した。他にも多くの者が翠を探している。わっちは葵にも助力を頼もうとこの区域に来て、葵と会い、事態を把握した」
「たくさんの人!?」
 ぱっ、と忍を見ると、忍は私の言葉に頷いた。ただ驚く私に、瑠璃が口を開く。
「みんな、お姉ちゃんがいなくなったら嫌なの。だからもうこんなことしちゃ駄目だよ」
「……え、ってことは、瑠璃ちゃんも私を探して!?」
「瑠璃は違う」
 軽く混乱する私の言葉を、忍はきっぱり否定する。
「瑠璃は、わっちが翠と葵を捜索中に見つけた。だから連れてきた」
「じゃ、じゃあ瑠璃ちゃんも、黙って出てきたの?」
「それは――」
 なぜか言いよどむ忍。代わりに答えたのは――他でもない、瑠璃だった。
「お母さん、瑠璃のこと分からないから、言っても無駄なの」
「――え」
 ゆっくりと、瑠璃へ顔を向ける。瑠璃は――笑っていた。
 泣きそうな顔で、無理やり。
「……お母さん、『お姉ちゃん』のことしか、覚えてないの」
 痛々しいその笑みは、初めて池に潜ったあの日見たのと、全く同じものだった。

















こんにちは、みなみです!
いやあの……中旬ぐらいにも……更新しようと……思って……(自爆
まあ、過ぎたことより今後の更新! ですね!
そういえば、夏休みが終わって大学がまた始まりました。
夏休み中はあまり外出しなかったので、日差しが眩しいです。←
そのうち慣れていくと思います。たぶん。
でも、よく考えたら去年の今頃はすでに二学期始まってたんですよね……時間の流れ怖いなぁ。

なんかまとまりませんが、この辺で(^_^)/~
ではまた次回!
















コメント返信>
Aspecchi様>
 ありがとうございます! そして、ごめんなさいm(__)m
 更新速度上がったかに見えてすぐ下がりました……上がるよう頑張ります。
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2014.09.28 Sun l 紅滄 ~滄ノ運命~ l コメント (1) トラックバック (0) l top
69、晴の泣き声                 ‐爛
 あちこちから悲鳴が上がる。
 今度の炎はさっきのものとは違った。囲むのではなく、直接彼らに火を付けたのだ。
「おのれ……焔!」
 紅蓮一族の男が焔を睨む。瞬間、焔が赤子をあたしに押し付けた。固い布越しに伝わる柔らかさが、あたしを戸惑わせた。
「なっ――」
 なんであたしに。不可解な行動に焔を見る、が、彼女は苦しそうにうずくまっていた。
 その背を、炎に焼かれて。
「滴(しずく)!」
「はい」
 男の声に目線を戻すと、青い髪の女性が男の隣に立っていた。男と同じぐらいの背丈で、男同様、焔を睨んでいる。彼女の足元からあふれた水が、斜面を下り仲間の足元を通っていく。さっき水を出したのは彼女、いや青髪の者か。同時に、あたしは悲鳴が消えていることに気付いた。彼らを焼いていた炎も。――焔のものを除いて。
「ふん、裏切り者が。血族の温情ゆえに謹慎で済ませていたものを、仇で返すとは。結局、最後まで出来損ないだったわけだ」
 その言葉に焔が反応したのか、男の体に再び炎が上がる。しかし、それも一瞬だった。隣の女性が手を触れた瞬間、そこから水があふれ、火が消えたから。
 どうしよう。動きたいけれど、その瞬間火を付けられてしまうだろう。……この赤子を巻き添えに。
「……終わりだ、焔」
 男がそう言い、女性が唇を歪めて笑った、その時だった。
 あたしの腕の中から、泣き声が響いた。
 今まで、全く動かなかった赤子が――晴が、泣いていた。泣き止む気配もなく、けれど暴れることもなく。ただ、泣いていた。何かを求めているようには見えなかった。苦しがっているようにも、不思議と思えなかった。ただ、泣いていた。理由もなく泣いているようにしか、思えなかった。
 誰もが不意を突かれ、誰もが赤子を見た。
 ただ――二人を除いて。
「――晴ぅぅぅっっ!!!」
 焔が叫び、再び彼らを炎が包む。そしてほぼ同時に、後ろの方に見えていた青い髪がひとりいなくなった。無意識に数える――あと三人。
 赤子を左腕に抱く。空いた右手で真剣をぱっと鞘から抜く。考える間もなく、投げる。
 剣は狂いもなく、滴と呼ばれた女性の左胸を貫いていた。
「ぞく……ちょ……」
 倒れこむ彼女を、男がとっさに支える。二人とも、炎に包まれたままだった。いや、それは二人に限った話じゃない。見たところ、火が消えたものはいない。
 青い髪の者も。
「紅き者……貴様……」
 男があたしを見ようとした。睨もうとした、の間違いかもしれない。けどその前に、男の左胸を、後ろから刃が貫いた。倒れる男から剣を抜いたのは――赤目。
「よくもふたりを!」
 上から声が降ってきた。とっさに見上げると、炎に包まれた青年が飛びあがって空中にいた。水色の髪をたなびかせ、赤目へと一直線に落ちていく。あたしは彼らを見回し、一旦、赤子を地に置いた。赤子はまだ泣き続けている。矢筒から矢を抜き、弓を構える。そして、矢を放った。……青年と同じ、水色の髪の者に。
 あたしの矢が相手に突き刺さった時にはもう青年も、赤目の刃によって息絶えていた。
 そして、立っている者も、ほとんどいなかった。














こんにちは、みなみです!
更新できた喜びと小説が上手く書けない悲しみを味わってます。
短い時間にたくさんの動きがあると難しいですね……。
まあ、とりあえず今回は、赤目お疲れって感じです。
……なんか短いですが、今日はこの辺で(^_^)/~
ではまた次回!
2014.09.06 Sat l 紅滄 ~紅ノ運命~ l コメント (1) トラックバック (0) l top
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