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58、月                 ‐翠・美陽
 空を見上げると、漆黒の空に白い月が輝いていた。
 ……あの空の色、何かに似てる。
 そう思いながら私は、静かに裏道を歩いた。裏道は大きい道より暗いし狭いけど、それは逆に好都合だった。人がいないから。
「……着いた。」
少しほっとしたためか、つい呟きが漏れる。再び気を引き締めて、私は慎重に、近付く。
 爛の話を聞いた日から、すでに何日か経っていた。信じられなかったけど、心のどこかで納得していた。だって爛は、……紅き女神の生まれ変わりだから。
 そして私も、滄き女神の生まれ変わり。なら、知りたい。
 そう思って、私はこっそりと、ある場所への位置と行き方を調べた。そこは、滄き女神のことを知ることが出来るかもしれない場所。つまり、水をたたえた場所、……池だ。本当は学校の池に行こうと思っていたのだけれど、あの日以来、藺草や瑠璃ちゃんは私が水に入るのに猛反発していた。それならこっそり入ればいい、と思い藺草に聞いたところ、夜は閉まっているらしい。だから、私はあまり人がいなさそうな場所にある池を探したのだ。
私は藺草に教えてもらった通りに身体を動かした。そして、そっと足で水に触れる。
 ……ああ、この感じだ。心の底からこみあげる、懐かしさと、喜び。
 嬉しくなって、私は急いで、でも静かに水の中に入った。そして、大きく息を吸い込んで潜る。そして、眼を開ける。
 暗かった。あまり深くはないはずなのに底が見えない。でも、月の光がわずかながらも私たちを照らしてくれた。それはまるで、何かが隠されているようで、もっと月が明るければ、と切に願った。ああでもやっぱり、世界は綺麗だ。でも、……残酷。
 辛くなって、私は上を見上げた。揺れる水面に、月が見える。穏やかな、優しさ。
 あの人に、会いたい。
 そのとき、眼の端に何かが見えた。顔を向けると、ぼやけた水面に、……え?あれは、もしかして。
 あの人の名を呼ぼうとしたとき、口に水が入った。息が出来ない。まったく、なんて不便な体なのだろう。空気を吸ってしか、生きることが出来ないなんて。もがき、あがくしかできないなんて。それでも、沈んでゆくなんて。
 不意にドボン、と音がした。腕が、引っ張られる。ちらりと、漆黒のなにかが、見える。
 あの人が、助けに来てくれたんだ……。
 そう思ったとき、頭が水から出た。息が出来る。そしてそのまま、身体ごと地面に引っ張られる。その途端、『あの人』が誰なのかも、綺麗な世界も、感じたことも、薄れてゆく。残ったのは……、哀しさ。
 そして、助けてくれたのは、『あの人』じゃなくて……。
「……あ、おい?」
軽くせき込みながら、私は戸惑った。何で、葵が?それに応えるように、葵の瞳が、私をまたとらえる。
「……なんで、水に潜った?」
息を弾ませながら言った葵の声は、どこか、怒りを含んでいた。







こんにちは、みなみですっ!無事更新出来ました☆
そしてテストも無事終了。現代文が友人に負けていたことが悔しかったです。
あ、数学は思ったより良かったですwww
これからも小説と勉強と部活その他もろもろ、両立(?)して頑張らなきゃなと思う今日この頃です。
ではまた次回!!
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2012.05.26 Sat l 紅滄 ~滄ノ運命~ l コメント (1) トラックバック (0) l top

コメント

No title
だいぶご無沙汰してしてしまってゴメンナサイ><
高校生活2年目、一番楽しいときですよ☆
悩むこともいっぱいあると思うけれど、楽しいことも必ずあるから、元気出してください^^
でも、辛いときは思いっきり泣いた方がいいよ。
クラス替えにテストに、ブログ更新にお疲れ様です^^
わたしも学校のテスト、がんばります☆
2012.05.28 Mon l かなやのぶ太. URL l 編集

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